《その後》

そうか、間に合わなかったか。

量子コンピューターもまもなく本格稼働だったようだな。
IT社会が進み、AI技術ももう少しでシンギュラリティを迎え、うまく行けば楽に過ごせたはずだ。

IPS細胞も見つけていたんだろう?
飛躍的に寿命が延びて、LEDが明るくこの星を照らしていたと思うよ。

残念だったな。
多くの星の生命体がこの完成形の直前で、こうやって自ら破滅するんだ。

中性子連鎖解放型爆弾か、彼らがこの兵器を無力化する技術を見つけられなかったのはなぜだと思う?
それはな、見つけたくなかったからなんだよ。
こうやって生命のあだ花は消えてしまうんだ。

よく見ておけよ。
もうだれもこの星の生命を弔うものはいないのだから。
せめて俺たちがこんな星があったということを覚えておいてやろう。

そう言って、数千年前に滅んだ小さな恒星の第三惑星を調査に来たものたちは去って行き、放射能の残る砂塵だけがこの星の表面を舞っていた。