《浸水》

みなさん、家に水が入ってきたことはあるでしょうか?

昔は増水と言えば台風だけだったように思いますが、最近はこの梅雨の時期の方がひどいようです。

 

私が10年ほど前まで住んでいたところは少し高くなっていたのでほとんど浸水はありませんでした。

隣の町は久保町という名前で、土地が凹んでいるのが由来のようで浸水も多かったです。

我が家も数年に一度軒先まで水が来て、自治会の人が逆性石鹸を持ってきていました。

 

子供の頃、邪魔扱いされながらも片づけをしている家を見ていると、床下まで浸水すると畳を上げて床板を外し、まず泥を集めバケツに入れたり掻き出したりしてからホースで水道水を流して、木部などを雑巾で拭いて乾くのを待ち、乾いてからまた拭いて、完全に乾いてから石灰の粉を撒いていたようでした。

 

最近の家はベタ基礎で水の抜け穴がなく、一旦水が入ると汲みださない限りプール状態になります。

電気が復旧すると風呂水を洗濯機に入れるポンプが役に立つそうです。

 

家から100kmほど離れた私の姉の家も、十数年前床上1m近くまで浸水して、車が通れるようになった二日後に掃除の手伝いに行きましたが、それは大変でした。

車に積めるだけの物資を持って出かけましたが、被害の地区に入ると町中あたり一面茶色一色になっていて、どこを走っているのか分かりません。

 

やっと着くとまず捨てるものの運搬です。

本棚の本は水分を含んでまったく抜けません。

電化製品は浮かんで移動していました。

小学校の校庭は各家庭のそれらで埋め尽くされていました。

子供たちのビデオテープも全滅でした。

 

水が引かないうえに、一旦引き始めると地盤が傾いたのか、一方に向かってすべての水が流れていったそうです。

被害のあった地区の人たちは精神状態が少しおかしくなっていたかのように、呆然としている人も多かったと記憶しています。

 

一段落ついて、コンビニのおにぎりを食べながらの笑い話ですが、義兄は水が入ってきたときに真っ先にビールのケースを持って上がったと姉が憤慨していました。

二日間だけ居て、最後に臭くなった犬を洗って帰宅の途につきました。

 

 

今年もまた熊本をはじめ、各地で同じような被害が繰り返されています。

今、大変な思いをされている人がいると思うと心が痛みます。

 

抜本的な解決を望むのは無理な話でしょうか。

少なくとも、もっと強力に被害を抑える方策があるはずです。

一度で何千億円もの被害と聞きます。

事前にそのお金を治水に使っていただきたいと思います。

それで何十人もの人が亡くならずに済むかもしれないのです。

 

自己責任で防御すべきという人もいます。

しかしそれは強者の論理です。

強者もいて弱者もいて、それが人間であるはずです。

心無い言葉を投げかける前に、よく考えるべきでしょう。

 

政治を行っている方々には、心して国民、市民の生命、財産、安全、幸福を守っていただきますよう切に願います。