《サウイフモノニワタシハナリタイ》

小学校の頃、トイレで『大』をするのは大変困難なことで、みんな何とかバレないようにと気を揉んでいた。
4年の頃だったかのある日、誰か忘れたが授業中に手を挙げて「先生、うんこ行ってもいいですか!」と言った。
みんなのワーっという笑いの中、その子は廊下に飛び出ていった。

知ってか知らずか、辛さ苦しさなどネガティブな感情を笑いに変えることのできた彼のおかげで、その後そのクラスでは「先生、うんこ!」がトレンドになり、トイレに行くのが恥ずかしくなくなっていった。

笑いの効能というのは確かにあって、たとえ楽しくなくても無理やり笑い声をあげるだけでも脳内にセロトニンなどの神経伝達物質が増え、免疫力が増すという。

人を笑わせるのは並大抵のことではない。
これを仕事にしている人は日々苦渋の脂汗をかいているだろう。
仏陀が芸能は仕事にすべきではないといった理由は別にあるが大変な仕事であることには間違いない。

先述の小学生の彼は昨今のお笑い芸人のようにその場を一瞬楽しくさせるだけでなく、周りの人の行動様式を変え、いわば人々を苦しみから解放した。

そう言う人に私もなりたいとその時思ったが、なれないまま一生を過ごしてしまった。
私の役割はいったい何だったのだろうかと、最近よく思っている